胸の筋肉って、腕を動かすためにも働いているって知っていましたか?
「胸の筋肉」大胸筋とは?胸の筋肉の働き・場所・ストレッチをわかりやすく解説
胸の筋肉って、腕を動かすためにも働いているって知っていましたか?
「胸の筋肉」と聞くと、筋トレをしている人のムキムキな胸を思い浮かべるかもしれません。
でも実は、筋トレをしていない人も、毎日のように胸の筋肉を使っています。
重たいドアを押すとき。大きな荷物を抱えるとき。誰かをギュッと抱きしめるとき。
そんな身近な動きで活躍しているのが、**大胸筋(だいきょうきん)**です。
しかも、この筋肉にはちょっと面白い秘密があります。
胸にある筋肉なのに、腕の骨につながっているんです!
どうしてそんな形をしているのでしょうか?
今回は、大胸筋の仕組みをイラストと一緒に楽しく探っていきましょう。
① 大胸筋ってどこにあるの?10秒で探してみよう!
【画像①:大胸筋を知ろう】
まずは、自分の胸に手を当ててみてください。
胸の前には、大きな筋肉が左右にひとつずつ広がっています。
それが大胸筋です。
形は、広げた扇(おうぎ)に少し似ています。
でも、筋肉は皮膚(ひふ)の下にあるので、どこで働いているのかわかりにくいですよね。
そこで、ちょっと実験してみましょう!
やってみよう!胸の筋肉探し
- 胸の前で両手のひらを合わせます。
- そのまま軽く押し合います。
- 胸のあたりが硬くなるか、感じてみましょう。
どうですか?
胸の筋肉がキュッと硬くなったら、大胸筋が力を出しているサインです。
筋肉は、縮むことで力を生み出しています。
目には見えなくても、今この瞬間に筋肉が働いている。
そう考えると、自分の体が少し面白く感じませんか?
では、この大胸筋。普段はどんな仕事をしているのでしょうか?
② 大胸筋の仕事は?実は毎日大忙し!
【画像②:大胸筋の主な働き】
大胸筋の大切な仕事は、腕を動かすことです。
「えっ、腕を動かすのに胸の筋肉を使うの?」
そう思った人もいるかもしれませんね。
実は、こんな身近な動きで活躍しています。
1. 重たいドアを押すとき
ドアをグッと押すとき、胸の筋肉も力を出しています。
肩や腕の筋肉と協力しながら、押す動きを助けているんです。
2. 大きな荷物を抱えるとき
大きな段ボール箱を抱えるところを想像してみてください。
横に広げた腕を胸の前へ寄せるとき、大胸筋が働きます。
この動きは、専門用語で「水平内転(すいへいないてん)」といいます。
ちょっと難しい名前ですが、大きなぬいぐるみを抱きしめる動きと考えるとわかりやすいですね。
3. 腕を前に持ち上げるとき
目の前にある物を取ろうとするときにも、大胸筋の上側が働くことがあります。
さらに、腕を内側へひねる動きにも関わっています。
ただし、腕を動かしているのは大胸筋だけではありません。
肩や背中など、たくさんの筋肉が協力しています。
大胸筋は、腕を動かすチームの頼もしい一員なんです。
では、どうしてひとつの筋肉で、いろいろな動きができるのでしょうか?
その秘密は、大胸筋の形にあります。
③ 大胸筋はひとつなのに、場所によって得意な仕事が違う!
【画像③:大胸筋の構造】
ここからは、大胸筋のちょっと不思議なお話です。
大胸筋はひとつの大きな筋肉ですが、上と下では筋肉の線維(せんい)が伸びる方向が違います。
そのため、場所によって得意な動きも少し変わるんです。
上の部分|腕を前へ持ち上げる
首の下にある鎖骨(さこつ)という骨の近くから始まる部分です。
腕を前へ持ち上げる動きを助けます。
真ん中の部分|腕を胸の前へ寄せる
横に広げた腕を胸の前へ寄せる動きに関わります。
誰かを抱きしめるような動きですね。
下の部分|上がった腕を引き下ろす
前に上げた腕を下ろすときには、大胸筋の下側も働きます。
もちろん、上・真ん中・下が完全に別々に動いているわけではありません。
それぞれが協力しながら力を出しています。
ちなみに、解剖学では主に「鎖骨部(さこつぶ)」と「胸肋部(きょうろくぶ)」に分けられます。説明するときには、わかりやすく上部・中部・下部と呼ぶこともあります。
ひとつの筋肉なのに、いろいろな仕事をこなせる。
人間の体は、よくできていますね。
でも、そもそも胸の筋肉が腕を動かせるのは、なぜなのでしょうか?
④ 胸の筋肉なのに、腕の骨につながっているって本当?
【画像④:大胸筋の起始・停止】
ここが、今回いちばん覚えてほしいポイントです。
大胸筋は、胸の中だけにある筋肉ではありません。
胸の広い範囲から始まって、腕の骨までつながっているんです。
どこから始まっているの?
大胸筋は、主に次の場所から始まっています。
- 鎖骨(さこつ):首の下にある横長の骨
- 胸骨(きょうこつ):胸の真ん中にある骨
- 肋軟骨(ろくなんこつ):あばら骨と胸骨をつなぐ軟骨
さらに、お腹の筋肉につながる腱膜(けんまく)という組織から始まる部分もあります。
どこにつながっているの?
胸の広い範囲から始まった筋肉は、腕の骨である上腕骨(じょうわんこつ)の上の方に集まっています。
そのつながる場所は「大結節稜(だいけっせつりょう)」と呼ばれます。
どうして骨につながっているの?
例えば、ひもを引っ張ると、つながっている物が動きますよね。
筋肉も、縮んで骨を引っ張ることで体を動かしています。
大胸筋が力を出すと、腕の骨が引っ張られ、腕を胸の前へ寄せるなどの動きが生まれるんです。
ちなみに、解剖学では筋肉が始まる側を「起始(きし)」、もう一方の付着する側を「停止(ていし)」と呼びます。
難しい名前は、無理に覚えなくても大丈夫。
胸の筋肉が腕の骨につながっているから、腕を動かせる。
この仕組みを知っているだけでも、体の見方が少し変わりますね。
⑤ 大胸筋が硬くなると、体にどんな変化があるの?
【画像⑤:大胸筋が硬くなると?】
ここまで、大胸筋が腕を動かす仕組みを紹介してきました。
では、この筋肉の柔軟性(じゅうなんせい)が低下すると、どうなるのでしょうか?
例えば、スマートフォンを見たり、パソコンで作業したりしているとき。
長時間同じ姿勢を続けて、胸や肩のまわりが張ったように感じたことはありませんか?
腕を後ろへ動かすと、胸がつっぱることも
大胸筋は胸と腕をつないでいるため、柔軟性が低下すると、腕を後ろへ開く動きなどでつっぱりを感じる場合があります。
上着を着るときや、腕を後ろへ伸ばすときに気づくこともあるかもしれません。
猫背や巻き肩にも関係する?
背中が丸くなる猫背(ねこぜ)や、肩が前に出る巻き肩(まきがた)。
こうした姿勢には、胸の筋肉の柔軟性が関係する場合があります。
ただし、姿勢には背中や肩甲骨(けんこうこつ)の筋肉、骨格、普段の生活習慣なども関わっています。
大胸筋が硬いから猫背になる、という単純な話ではありません。
肩こりについても同じです。
ひとつの筋肉だけを原因と決めつけず、体全体の動きや生活習慣にも目を向けることが大切です。
では、胸の筋肉を気持ちよく伸ばすには、どうしたらよいのでしょうか?
⑥ 壁があればできる!大胸筋の簡単ストレッチ
【画像⑥:大胸筋のストレッチ】
大胸筋の場所や働きがわかったところで、実際にゆっくり伸ばしてみましょう。
特別な道具は必要ありません。
壁があれば、自宅でも取り組めます。
壁を使った胸のストレッチ
やり方
- 壁の横に立ちます。
- 片方の肘を軽く曲げ、肘から手首までを壁につけます。
- 肩が痛くならない高さに腕を調整します。
- 体をゆっくり壁と反対方向へ向けます。
- 胸の前が軽く伸びる位置で、15〜20秒ほど保ちます。
反対側も同じように行いましょう。
まずは左右1回ずつからでも大丈夫です。
気持ちよく伸ばす3つのコツ
- 呼吸を止めず、ゆっくり行う
- 肩を無理に後ろへ引っ張らない
- 痛みが出るところまで伸ばさない
ストレッチは、強く伸ばせばよいというものではありません。
痛みのない範囲で、ゆっくり伸ばすことが大切です。
肩に痛みやしびれが出た場合は中止してください。けがをしている方や治療中の方は、医療専門職に相談してから行いましょう。
また、胸の痛みや息苦しさがあるときは、筋肉の張りだと自己判断しないでください。突然の強い症状や冷や汗などを伴う場合は、救急要請が必要になることがあります。
⑦ まとめ|今日から自分の胸の筋肉を意識してみよう!
【画像⑦:大胸筋のまとめ】
さて、大胸筋の秘密はいくつ見つかりましたか?
最後に、今回の大切なポイントを振り返ってみましょう。
- 大胸筋は、胸の前に大きく広がる筋肉
- ドアを押す、荷物を抱えるなどの動きで活躍する
- 同じ筋肉でも、場所によって得意な動きが違う
- 胸の骨や鎖骨などから、腕の骨へつながっている
- 柔軟性が、肩の動かしやすさに関係する場合がある
- ストレッチは痛みのない範囲で行うことが大切
大胸筋は、筋トレをする人だけの特別な筋肉ではありません。
毎日の暮らしの中で、私たちの動きを支えてくれている身近な筋肉です。
明日、ドアを押したとき。
大きな荷物を抱えたとき。
ちょっとだけ胸の筋肉を意識してみてください。
「あ、今、大胸筋が働いているのかな?」
そんな小さな発見が、自分の体を知るきっかけになるかもしれません。
いつも何気なく動かしている体にも、知らなかった秘密がたくさんある。
ABOUT HANDS
HANDS Body Maintenance Room
自分の体を知ることは、健やかな毎日への第一歩。
HANDSは、新潟県阿賀野市にある完全予約制のボディメンテナンスルームです。
このブログでは、筋肉や姿勢、体の仕組みを、イラストとともにわかりやすくお届けしています。
知ることから、体との向き合い方を変えていく。
※本記事は一般的な解剖学・セルフケア情報を提供するものであり、診断や治療を目的とするものではありません。

